21近年の社会情勢の悪化に伴って、心身の不調を訴える人がますます増えてきていますが、身体の不調を治療する内科、精神の不調を治療する精神科という枠組だけの対応では治せない患者さんが増えています。内科的な対応、精神科的な対応、心身一如で考える漢方的な対応、心理療法的な対応、これら全て考慮した全人的な対応が必要と考えられますが、その期待に応えられる医療機関は非常に少ないのが現状です。
心療内科の外来には、立ちくらみがする、呼吸が苦しい、頭が痛い、肩が凝る、咽喉が詰まる、動悸がする、眠りに就けない、途中で目覚めてしまう、食欲がない、食べ過ぎてしまう、頭が痛い、身体がだるい、気分が落ち込んでいる、不安でたまらない、電車にのれない、学校にいきたくない、会社に行きたくない、汗が出過ぎる、気持が悪い、お腹が張る、排尿の回数が多い、便通が悪くてお腹が痛い、髪の毛が抜けるなど、様々な症状を訴えて来院する患者さんが増えてきています。
このような患者さんに対して、従来までの薬物療法だけでなく全人的な関わりで治療していくことで、びっくりする程の効果があがっています。特に、薬による治療だけでは治療効果が期待できない症状に対して、また、薬を減量したいが減量すると症状が再燃する人に対して、人の心に関わっていく心理療法を併用することで、人の持っている自己治癒力が引き出され、様々な症状の著しい改善が可能になってきています。
このような人の生物学的・心理学的・社会学的・実存的な面をすべて包括した全人的アプローチこそ21世紀の新しい治療と言えましょう。そこで、こころと身体の関係を重視し、効果的な心療内科治療を実践すべく、国際心理社会実存医学研究所が設立されました。本研究所は人の心に関わるカウンセリングや心理療法の方法として、臨床動作法や催眠療法を専門とする人を中心に、精神分析療法、認知行動療法、箱庭療法、ブリーフセラピー、家族療法などができる、臨床心理士資格を有するベテランのスタッフをそろえています。
2001年より心理臨床部門の顧問として、宮田敬一教授(大阪大学大学院人間科学研究科)に就任していていただき、本研究所における心理臨床の実践に尽力していただいています。また、2004年度より催眠療法の経験が豊富な精神科医の川嶋新二先生にもスタッフに加っていただき、心理臨床部門のさらなる充実をはかっています。
また、心理治療に関する勉強会を定期的に開催したり、治験という形で新しい治療薬の開発に協力したり、精力的に研究をして学会に発表したりすることにより、心理臨床と研究の能力を高めるべく鋭意努力しています。 |